新年を迎えられましたことを謹んでお慶び申し上げます。

 昨年を顧みますと、ロシア・ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰は長期化し、原材料費、物流コストの上昇、更に円安を背景とした物価上昇は家庭や企業活動に大きな影響を与えました。政府には、持続的な生産、安定経営ができる環境づくりへの経済対策を期待するところです。 昨年5月に感染症法上の分類が5類へ移行された新型コロナウイルス感染症は、これまでの行動制限が緩和され、社会経済活動が再開され、インバウンド需要は回復し高まってきました。

 本県水産加工業界では、東日本大震災の発生から間もなく13年を迎えますが、未だ失われた販路の回復は大きな課題となっております。放射能事故に対する不安は薄らいできておりますが、この事故の与えた心理的影響は大きく、風評被害は未だ収束しておりません。そのような中、ALPS処理水の海洋放出が8月24日から開始され、海洋放出による中国等の輸入規制により大きな影響を受け、長期的な影響が懸念されるところです。私どもは、処理水の安全性の理解醸成とともに、製品の安全性と信頼性の確保をはかるよう努めてまいります。 加えて、少子高齢化、人口減少による労働力不足や消費の縮小、国内水産物の漁獲量減少や世界的な水産物消費により原料確保は益々困難を極め、大変厳しい環境が継続しており、これらの課題への対応についても会員が一致団結し取組んで参りたいと思っております。

  さて、今年の干支は「辰」、十干十二支で言えば「甲辰」にあたり、時代が大きく動く変革の年だと言われています。「辰」とは竜のこと、竜頭蛇尾に終わることなく、また、画竜点睛を欠くことなく、私ども水産加工業界も竜が水や雲、翼を得るように持てる力を存分に発揮し飛躍の年にしていきたいと思います。

 最後になりますが、本会の安定的な運営、また、水産加工業界の発展にさらなる努力をして参る所存ですので、引き続き一層のご理解ご協力をお願い申し上げますとともに、会員の皆様のご活躍とご繁栄を心から祈念いたしまして年頭のごあいさつといたします。

 

 

茨城県水産物開発普及協会

会長理事 髙木 安四郎