新年を迎えられましたことを謹んでお慶び申し上げます。

 昨年を顧みますと、時代は「平成」から「令和」へ、新天皇陛下が即位され、30年余り続いた元号が新しくなりました。

「即位礼正殿の儀」や「祝賀御列の儀」などの儀式や行事が続き、祝賀ムード一色となりました。

一方、台風15号、19号と21号の熱帯低気圧による関東地方を中心とした強風、豪雨被害が相次ぎ、

多くの尊い命が失われ、停電や断水、住宅の損壊等により生活基盤をも失われました。

度重なる自然災害に改めて自然の脅威を思い知らされました。

 国内経済においては、「緩やかに回復している」との判断が継続されておりますが、実感が得られないのが実情です。

世界経済では米中の貿易摩擦激化、欧米の政治的な混乱や新興国市場の混乱、米国の金利利上げによる国際金融市場の動揺など、

日本経済の成長に悪影響を及ぼしかねない状況にあると感じております。

 このような中、本格的な人口減少に伴い、労働力の不足や消費の縮小、国内水産物の漁獲量減少、

世界的な水産物消費による原料や資材類の高騰、更に、消費税率の10%への引き上げ、

軽減税率制度の導入、国際的な衛生管理基準への対応が求められるなど、依然として水産加工業は困難な経営環境におかれております。

 加えて、東日本大震災の発生から8年が経過した現在でも、失われた販路の回復は大きな課題となっております。

放射能事故に対する不安は薄らいできておりますが、この事故の与えた心理的影響は大きく、私ども茨城県の水産業の風評被害は未だ収束しておりません。

このため、製品の安全性と信頼性の確保をはかるため、原料から製品まで各段階において様々な検査を行うとともに、

引き続き丁寧な製品づくりを心掛け、前向きに取り組んで参りたいと思っております。

 さて、今年の干支は「子年」、再び新しい十二支のサイクルがスタートする年です。

ねずみはどこでも生きていけるだけに、環境への適応能力に高く、誰にでも合わせられるのが特徴だそうです。

令和という新しい時代の扉が開き、迎えた2020年、東京でオリンピックが開催されます。

「子」には、「滋る」増加するの意味で種子の中に新しい生命が芽生える様子を表しています。

新しい芽生えが実りある一年となるよう真面目にコツコツと「ねずみ=寝ず身」の精神でいきたいと思います。

本会の安定的な運営、また、水産加工業界の発展に懸命の努力をして参る所存ですので、引き続き一層のご理解ご協力をお願い申し上げます。  

最後になりますが、会員の皆様のご活躍とご繁栄を心から祈念いたしまして年頭のごあいさつといたします。

 

                                                茨城県水産物開発普及協会

                                                 会長理事 髙木 安四郎