新年を迎えられましたことを謹んでお慶び申し上げます。

 昨年を顧みますと、年の始まりを新元号「令和」で迎え、本格的な新時代の幕が開け、これからというときに、未知の新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、感染拡大防止による緊急事態宣言が発令され、外出自粛要請がなされ、夏に開催を予定した東京オリンピックが延期となるなど、社会生活や経済活動の大転換を余儀なくされました。
 今後も新型コロナウイルス感染症が続くことが予想されており、人と人との距離やコミュニケーションの取り方など厚生労働省より示された「新しい生活様式」を取り入れた日常生活の実践が求められております。

 このような中、本県水産加工業界においては、本格的な人口減少に伴い、労働力の不足や消費の縮小、国内水産物の漁獲量減少、世界的な水産物消費による原料や資材類の高騰、更に、HACCPの義務化、新たな食品表示への対応が求められるなど、依然として水産加工業は困難な経営環境におかれております。
10%に引き上げられた消費税は、1989年の消費税導入以来、初めて設けられた軽減税率制度により食品は8%を維持しておりますが、引き上げの影響は避けられません。
 加えて、東日本大震災の発生から間もなく10年を迎えようとしておりますが、失われた販路の回復は大きな課題となっております。放射能事故に対する不安は薄らいできておりますが、この事故の与えた心理的影響は大きく、私ども茨城県の水産業の風評被害は未だ収束しておりません。また、処理水の問題も心配されるところです。製品の安全性と信頼性の確保をはかるため、原料から製品まで各段階において様々な検査を行うとともに、引き続き丁寧な製品づくりを心掛け、前向きに取り組んで参りたいと思っております。

 さて、今年の干支は「丑年」、丑の字は、手の指を曲げて物を握る様子を表した象形文字で、つかむ、からむという意味があり、芽が種子の内部で伸びきらない状態を表しています。「子年」に蒔いた種が芽生え成長していく時期とされ、結果につながる道を先を急がず一歩一歩着実に基礎を積み上げて、経営基盤の強化をしていければと思います。
本会の安定的な運営、また、水産加工業界の発展に懸命の努力をして参る所存ですので、引き続き一層のご理解ご協力をお願い申し上げます。
 最後になりますが、新型コロナウイルスの一日も早い収束を願うとともに、会員の皆様のご活躍とご繁栄を心から祈念いたしまして年頭のごあいさつといたします。

 

                                        茨城県水産物開発普及協会

                                         会長理事 髙木 安四郎